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ROIとはどういう意味?重要性やほかの指標との違い、得られるメリットについて

公開 2025年8月05日/更新 2025年8月05日/12 分で確認

ROIとはどういう意味?重要性やほかの指標との違い、得られるメリットについて
作成者
Team Braze

マーケティング施策の取捨選択に困っているときや、分野も方法も異なる施策同士の費用対効果を比較したときに活用できる指標として知られるのが、ROIです。

この記事では、ROIとは何か、その重要性や計算式、関連指標との違い、ROIを活用するメリットや高める方法、注意点などをご紹介します。

1.ROIとは

ROI(Return On Investment)とは、投資金額に対してどれだけの効率で利益を獲得できたかを図る指標です。日本語では「投資収益率」や「投資利益率」と訳されます。読み方は、「アールオーアイ」、もしくは「ロイ」です。

2.ROIはなぜ重要なのか

ROIの価値は、投資の実態や効果を明確化できる点にあります。

近年、顧客接点の多様化が進むなか、広告の出稿先や取り得るマーケティング施策の選択肢も増加しています。マーケターには各アクションの費用対効果を正確に把握し取捨選択を進めることが求められますが、言うは易く行うは難しです。

そこで活躍するのがROIです。コストとリターンの関係を明確化できるROIは、チャネルや事業の異なる施策同士の比較を可能にします。今もっとも注力すべき施策は何かを導き出し、反対に投資対効果が低い施策も把握できるようになるため、マーケターの羅針盤のように活躍してくれる指標です。

3.ROIの計算方法

ROIの計算方法は以下の通りです。

ROI(%)=利益÷投資金額×100%

200万円の投資を行い600万円の利益を上げたとすれば、ROIは600万円÷200万円×100%=300%となります。数値が高いほど投資金額に対する利益が大きいことを意味します。

4.そのほかの指標との違い

ROIには混同されやすい類似用語が多く存在します。それぞれの指標の意味や計算式を確認し、違いを理解しておきましょう。

4.1. ROAS

ROAS(Return On Advertising Spend:広告費用対効果)とは、ある広告が広告費に対してどれだけの売上を得たかを表す指標です。以下の計算式で求められます。

ROASの計算式)

ROAS(%)=広告経由で生まれた売上÷広告費×100%

ROASはROIと似ている指標ですが、ROASは売上を、ROIは利益を対象とする点で異なります。経費を考慮しなくても良いROASの方が計算は簡単ですが、投資の実態を正確に評価できるのはROIであり、両者は適切な使い分けが求められます。

詳細は以下の記事もご一読ください。

>>ROASとは?計算方法やROI・CPAとの違い、改善ポイントを紹介

4.2. CPA

CPA(Cost Per Acquisition, Cost Per Action:顧客獲得単価)とは、コンバージョン1件にかかった費用を表す指標です。ROIとは反対に、数値が低いほど優れています。

CPAの計算式)

CPA(円)=広告費用額÷コンバージョン数

CPAとROIの違いは、コンバージョンを計算対象としていること、すなわち金銭以外の利益(例:資料請求やお問い合わせの件数)を評価できる点です。ROASと同じく、ROIとは適切に使い分ける必要があります。

4.3.CVR

CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)とは、あるサイトやページを訪れた方のうちどれだけの割合でコンバージョンに至ったかを表す指標です。

CVRの計算式)

CVR(%)=コンバージョン数÷サイトやページの訪問数×100%

投資に対する利益を指すROIとは直接的な関係はありません。しかし、マーケティングの利益の最大化を目指す過程では影響をおよぼすこともあります。

例えば、ECサイトへの訪問と購買を促すバナー広告のROIは、サイト側のUIの見直しによりCVRが向上することで、あわせて改善すると予想されます。

4.4.ROE

ROE(Return On Equity:自己資本利益率)とは、自己資本(返済の必要がない資産)からどれだけの利益を獲得できたのかを表す指標です。投資分野の用語であり、主に株主の出資をどの程度利益に結びつけられている企業なのかを図るのに役立てられています。

ROEの計算式)

ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100%

ROIとは、投資を利益に変える効率の良さを測る思想で共通しています。しかし、ROEは主に投資家や求職人材が企業の価値を見極めるための用語であり、個別の施策の価値を判断するROIとは利用シーンが異なります。

4.5. ROIC

ROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)とは、企業が事業活動に向けて投下した資本からどの程度の効率で利益を上げられたかを表す指標です。通常は以下の計算式で求められます。

ROICの計算式)

ROIC(%) =税引後営業利益÷(有利子負債+株主資本)×100%

ROICはROEと同じく、経営指標の一つとなります。主に企業全体の評価を行うための用語であり、個別の施策の分析を目指す点でROIとは異なります。

4.6.LTV

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、ある顧客が自社との取引を開始してから終えるまでにどの程度の利益をもたらしてくれるかを表す指標です。ビジネスモデルにより計算式は異なりますが、一般的には以下で求められます。

LTVの計算式)

LTV(円)=平均購買単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間

上記に当てはまらない場合は以下の計算式で求めることもできます。

LTV(円)=平均購買単価 × 収益率 × 継続年数

ROIとLTVの違いは、長期的な視点の有無にあります。ROIは長期的な利益の評価に向いていない欠点があるため、LTVはROIの欠点を補う形でよく併用されています。

LTVの詳細は以下でも解説しています。

>>LTV(ライフタイムバリュー)とは?重要性や計算方法、高める方法・ポイントについても紹介

4.7.ROMI

ROMI(Return on Marketing Investment:マーケティング投資利益率)とは、マーケティング活動において投資費用からどの程度の利益を得られているのかを表す指標です。

ROMIの計算式)

ROMI(%)=(マーケティングで増加した売上-マーケティングコスト)÷マーケティングコスト×100%

ROIはマーケティング分野で頻出の用語ですが、投資に対する利益を単純に計算するものであり、別分野の投資対効果の評価にも利用できます。一方、ROMIはマーケティングの評価に特化している点で異なります。

ここまでの用語をまとめると以下の通りです。

  • ROI:投資収益率

投資に対してどの程度の利益を得ているのかを表す指標

  • ROAS:広告費用対効果

ある広告が投資に対してどの程度の売上を得ているのかを表す指標

  • CPA:顧客獲得単価

コンバージョン一件の獲得に対してどの程度の費用がかかっているのかを表す指標

  • CVR:コンバージョン率

(主にサイトの訪問者が)どの程度の割合でコンバージョンに至っているのかを表す指標

  • ROE:自己資本利益率

自己資本からどの程度の利益を得られているのかを表す指標

  • ROIC:投下資本利益率

企業が事業活動に向けて投下した資本からどの程度の利益を得られているのかを表す指標

  • LTV:顧客生涯価値

ある顧客が自社との取引をはじめてから終えるまでにどの程度の利益を与えてくれるのかを表す指標

  • ROMI:マーケティング投資利益率

マーケティング活動において投資費用からどの程度の利益を得られているのかを表す指標

5.ROIを求めることで得られるメリット

a group of people are working on a project together .

続いて、ROIの活用により得られるメリットを見ていきましょう。

5.1.異なる事業や施策の費用対効果が測定できる

ROIは投資と利益の関係を明確化できる指標であり、複数の事業や施策同士の価値を比較するのに役立ちます。分野や規模の異なる比較であっても費用対効果を比べられます。

5.2.最も効果的な施策を見極められる

費用対効果の把握に役立つROIは、マーケティング施策の取捨選択を進めていく過程で有効です。「何となく手応えがある」といったあいまいな体感を排し、数値をもとに利益効率の良い施策を厳選できます。

5.3.具体的な改善施策を立てられる

多様な施策の効果把握と厳選により次の一手を考えやすくなるのもROIの魅力です。どのような施策のROIが良いのか、その共通点を探っていくことで、マーケティングの勘所を把握していけます。マーケターとして成長するための手がかりにもなる指標です。

6. ROIを高めるための方法

ROIを高めるための方法も見ていきましょう。

6.1.収益性を高めてコストを削減する

ROIは投資額と利益額から導かれる指標であり、逆説的にいえば、コストを削減して収益性を高めることが改善の方法となります。

仕入れ先変更による原材料費の削減や業務効率化による人件費の抑制など、まずは利益に悪影響を与えづらい形でコストを削減できないか検討してみましょう。

6.2.顧客体験の向上を図る

マーケティングの定説の一つに、新規顧客からの売上獲得は既存顧客からの場合に比べ5倍のコストがかかるという法則(1:5の法則)があります。

そのため、顧客一人ひとりのニーズを満たすサービスを提供するなどして顧客体験を向上させリピーターを増やすことが、ROIの向上への近道となります。

6.3.ツールを導入し費用対効果を高める

顧客体験を効率的に改善したいなら、ツールを活用する方法も有効です。

ツールの活用をご検討の際は、顧客エンゲージメントプラットフォームである「Braze」の導入をご検討ください。

Brazeは、顧客ニーズの把握とそれに適したアプローチの実現に強みを持つツールです。膨大なデータを一元管理し、顧客一人ひとりが求めている体験を分析し、最適な時間・手段・内容にこだわりコミュニケーションを構築できます。

レストランなどで廃棄される予定の食材を安価に販売するToo Good To Go社では、Brazeを通じて顧客の購買履歴や趣味嗜好別にユーザーをセグメント化し、各集団の心を打つ連絡内容と配信頻度を追求することで、メッセージのコンバージョン率を約2倍に成長させています。

>>Too Good To Go、大規模パーソナライズでキャンペーンROIを向上

Brazeは、導入いただいた後に成果が出るまでの速度にもこだわっています。詳細は以下の記事にお進みください。

>>短期でROIを実感するBraze導入のリアル。契約後、60日で最初の施策を展開。

7. ROI活用の注意点

ROIを活用する際は、注意点も理解したうえで使い分けを考える必要があります。見落としがちなポイントを最後に押さえておきましょう。

7.1.長期的な影響や効果を評価するのに向いていない

ROIで算出される投資利益率は、あくまで現在までの数値です。新規ユーザーを招く施策を実行して利益を獲得した場合、その顧客が今後どれだけ継続的に購買してくれるかは考慮されません。施策の正確な評価には、LTVのような長期的な視野を持つ指標との併用を視野に入れる必要があります。

7.2. 数値化が難しい施策は評価できない

マーケティング施策では、ブランドの認知度や顧客からの愛着の向上など、数値化しづらい利益が生じることもあります。しかし、金額にのみ注目しているROIではこのような好影響は評価できません。ROIの比較による施策の厳選時には、金銭以外の利益は生じていないかを念入りに確認しておきましょう。

8.まとめ

ROIは、投資に対する利益をどの程度の効率で得られているのかを表す指標であり、多様化するマーケティング施策の比較に役立ちます。ほかの指標と併用することで、より正確かつ長期的な視点でのマーケティングが実現します。

ROIの向上にあたっては、顧客体験の質を高めてリピーターを増加させることが重要です。その手段として、ぜひBrazeの活用もご検討ください。

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